現実世界でも新学期開始つーわけで、春休みを利用したマジカルバカンスももうお終い、魔法界編最終話なまほプ。
デキる子みらいの秘められた重力が全開になったり、お澄ましリコが自分の気持に素直になったり、これまでの感情総決算として濃厚なお話になってました。
二ヶ月ずーっと『ふたり』で進めてきたんだから、まとめも『ふたり』の感情一本で押し切るのは正しい劇作だとは思う。
『濃厚な友情やるのに端役は邪魔ァ!!』とばかりに、ソッコーで補修三人組がリタイアされていたのはまぁそのなんだ、まほプっぽいね。

しかし一点突破故に押し通せる圧倒的な情感が存在するのも事実でして、作画力を極振りした電車での合流シーンは言うに及ばず、別れを前に戸惑う二人の姿もじっくり丁寧に切り取られてました。
ここら辺の、ともすれば湿った閉鎖性すら感じさせる濃厚な感情表現は、まほプの強みだと思う。
あくまで『リコを立派な魔法使いにするためには、この試験に通ってマホウナシ界に帰らないといけない』と自分に言い聞かせるみらいの重力は、9話にして危険領域だと思う。
誰かが好き過ぎてちょっと頭おかしいキャラクターは僕も好きなので、持ち前の賢さでより善い結論を直感し、たしかにそこに向かって走りつつも、自分の感情を持て余してしまうみらいの姿は良かったな。
リコLOVEがオーバーフローした結果、これまで維持していた優等生の殻を破り、自分らしさを溢れさせる展開が、関係性と物語の変化を予感させてくれたんだが……さてはて、この予感の通り少しは変化があるのかね?

変化があったのはリコも同じで、姉へのコンプレックスを乗りこなすために作った『外面重視で見えっ張りなリコ』というセルフイメージをぶっ壊して、ただ感情の赴くままに全速力で突っ走る展開は、ロックンロールが止まらなすぎてよかった。
やっぱキャラクターが自己規定の檻をぶっ壊し、本当に自分のやりたいことに素直になる展開は強いカタルシスがある。
こうして『外部から規定された、こうあるべき自分』ではなく『内発的に飛び出した、こうなりたい自分』を優先することで、リコの人間的な成長も表現できるだろうし、これを契機に『デキない子・リコ』というお定まりの立ち位置を切り崩していって欲しいと、個人的には思う。

二人の間に漂う感情が濃厚で勢いがあるのはとても良いんだが、この話が『ふたり』の物語である以上、その関係性に変化がなければ物語全体のバリエーションも増えない。
『みらいが成功してリコが失敗する』という上下関係を八話ぶっ続けで一度もブラすことなく展開してきたこの物語が、今回の感情の爆発と、ナシマホウ界へと舞台を変えたことで少しは色合いの違う物語を紡げるか、それは未だ不透明だ。
ただ今回、物語的な圧力を高めてひとときの別れを演出することで、二人がそれぞれのキャラクターをはみ出し、本当に自分がやりたいことを強く発露させていたのは、とても良かったと思う。
願わくば、この変化を活かして欲しいものだ。

こうして魔法界編が終わってみると、数多くいた『ふたり』以外のキャラクターに軽い目配せはあっても、主役たちが変化する起因は手をつなぎあった『ふたり』だったなぁと、つくづく思う。
その濃厚さと純粋さが作品のカラーになっているのも判るが、その視野の狭さは他者を軽んじる危うさと容易に直結するものだし、その萌芽はちらほら見えているようにも感じる。
手を繋いだ『ふたり』の強い絆を、『ふたり』以外はいらないという閉鎖性から巧く脱却させて、より広くより高い変化へと繋げて欲しいかなぁというのが、率直な今の気持ちである。
確かにあまりにもド濃厚な『お前だけ』という感情は大好物だし見てて気持ちいいんだが、お互い以外から学ぶエピソードが増えると、もっと好きになれるかなぁとも思う。
一応身振りとしては『他人も大事』ってメッセージダシてんだけど、お話の中で『ふたり』が他者から受ける影響、物語内部での他者の活躍を見てると、ちょっと一本気すぎてあぶねー感じを受けるね、やっぱ。

まー濃厚な友情の中で閉鎖し続ける物語もアリっちゃアリだが、一年続くと多分胸焼けするし、どうやってもバリエーションを稼げないとも思う。
4クールという長丁場のなかでどういうメッセージ性を宿すかというのも、ロングスパンのアニメーションを見る個人的な楽しさであり、これまでの物語から一歩踏み出した『何か』が新展開で見られると、凄く嬉しい。
無論その時が来ても、今回見せた感情表現の熱さという武器を捨て去る必要は一切ないし、むしろ世界や物語の幅を広げることで、『ふたり』の結びつきも強調されると思うので。
魔法つかいプリキュアらしさを巧くまとめ上げたエピソードの先に、どんな話が待っているのか、期待してマホウナシ界編を待ちたいと思います。